ChatGPTで社内規程を整備してみた|実務で分かった「できること・危ないこと」

生成AIを仕事で使う場面が増えていますが、総務・法務の実務で本当に使えるのかは、実際にやってみないと分かりません。

今回は、ChatGPTを使って社内規程の整備・修正・整合性チェックを行ってみました。

結論から言うと、ChatGPTはかなり使えます。

ただし、そのまま任せるのは危険です。

実際に使ってみると、意図した修正はできても、頼んでいない箇所まで変わったり、変更履歴版で本来残すべき記載が消えたりすることがありました。

この記事では、実際の規程整備で分かった「使える部分」と「危ない部分」を、実務目線でまとめます。

ChatGPTにお願いした規程整備の内容

今回行ったのは、単純な誤字脱字チェックではありません。

複数の社内規程を見ながら、

  • 規程同士の整合性確認
  • グループ会社と持株会社の権限整理
  • 「承認」と「決裁」の使い分け
  • 条文の表現統一
  • 定義条項の確認
  • 変更履歴を残した修正版の作成
  • 関連規程への影響確認

といった作業をChatGPTに依頼しました。

こうした作業は、人間がすべて目視で行うとかなり時間がかかります。

特に複数の規程が絡む場合、ある規程を直したことで別の規程との整合性が崩れることがあります。

この「横断チェック」は、生成AIが比較的得意な分野だと感じました。

ChatGPTでうまくできたこと

まず良かったのは、複数文書の比較と論点整理です。

たとえば、持株会社が「承認」するのか、それとも事業会社が「決裁」するのか。

このような権限関係について、規程全体を見ながら整理させると、論点をかなり早く抽出できます。

また、

「この条文の表現は他の規程と整合しているか」

「この定義は別の条文でも同じ意味で使われているか」

といった確認も、人間がゼロから探すより効率的でした。

総務・法務の仕事では、文章を“書く”ことより、他の規程との整合性を確認する作業に時間を取られることがあります。

ここはAIを使うメリットが大きいです。

実際に起きたミス

一方で、危ない部分もはっきりしました。

今回、特に気になったのは次のようなミスです。

頼んでいない箇所まで変わる

「この部分だけ修正して」と依頼しても、周辺の文章までAIが自然に整えてしまうことがあります。

文章としては読みやすくなっていても、規程では勝手に修正してはいけない箇所があります。

特に変更履歴版では、修正箇所以外を変えないことが重要です。

AIは文章を“良くしよう”とするので、ここが逆にリスクになります。

差分修正のはずが差分になっていない

「変更履歴が分かる形で修正して」と依頼しても、実際には元の文章全体を書き換えてしまうケースがありました。

規程改定では、

「どこを変えたか」

「何を残したか」

が重要です。

そのため、AIの修正結果をそのまま採用するのではなく、原文との比較確認が必須です。

カッコ書きなど細かい記載が消える

今回、条文内のカッコ書きが修正時に消えてしまうケースもありました。

AIは文章の意味を保とうとしますが、規程では細かい補足表現にも意味があります。

「意味が同じだから省略していい」という判断は、人間側が決めるべきです。

社内規程でAIに任せてはいけない部分

実際に使ってみて、AIに完全に任せるべきではないと感じたのは次の部分です。

まず、最終的な法的・制度的判断です。

AIは文章を整理することはできますが、その会社の実際の権限関係や意思決定プロセスまで完全に理解しているわけではありません。

また、規程改定の背景には、

「なぜこの条文が存在するのか」

「過去にどんな問題があったのか」

といった社内事情があります。

こうした情報は、規程本文だけでは分からないことがあります。

そのため、AIはあくまで

整理する・比較する・候補を出す

ところまで。

最終判断は人間が行うのが安全です。

規程整備で使いやすかったプロンプト

実務で使う場合は、かなり具体的に条件を指定した方が精度が上がります。

たとえば、次のような依頼です。

次の規程を修正してください。
修正対象以外の文章は変更しないでください。
表現の統一や読みやすさの改善も不要です。
元の条文をできる限り維持し、指定箇所のみ修正してください。
カッコ書き、注記、号番号、条番号は削除しないでください。
修正後は、変更箇所一覧も出してください。

さらに複数規程を確認する場合は、

この規程単体ではなく、関連規程との整合性も確認してください。
特に「承認」「決裁」「報告」「審議」の権限関係に矛盾がないか確認してください。

といった条件を追加すると、実務向けになります。

ChatGPTとClaudeはどう使い分けるか

規程整備では、ChatGPTとClaudeの両方を使うのも有効です。

ChatGPTは、論点整理や指示に沿った修正、チェックリスト化が使いやすい印象です。

一方でClaudeは、長い文書をまとめて読ませて、全体構造や文章の整合性を見る用途に向いています。

実務では、

ChatGPTで修正案を作る
→ Claudeで全体整合性を確認する
→ 最後に人間が原文と差分確認

という流れにすると、かなり安全性が上がります。

重要なのは、どちらか1つを信用し切らないことです。

AIを使うと規程整備は速くなる

生成AIを使うと、規程整備のスピードはかなり上がります。

特に、

  • 複数規程の比較
  • 表現の不一致確認
  • 定義語の確認
  • 条文案の作成
  • 論点整理

には便利です。

一方で、規程は「文章として自然か」よりも「意図した内容が正確に残っているか」が重要です。

AIは、文章を自然に直すのは得意ですが、勝手に直さないことは意外と苦手です。

だからこそ、

AIに作業させる
→ 原文と比較する
→ 最終判断は人間が行う

という使い方が現実的です。

まとめ

ChatGPTは、社内規程の整備でも十分使えます。

ただし、「全部任せる」のではなく、実務担当者の補助ツールとして使うのが正解だと思います。

今回の規程整備では、作業時間を短縮できる一方で、頼んでいない箇所の変更や細かい記載の削除など、注意すべき点も見えました。

生成AIを社内規程や法務業務で使う場合は、便利さだけでなく、どこでミスが起きるかを理解して使うことが重要です。

今後は、ChatGPTとClaudeで同じ規程をチェックした場合の違いや、実際に使える規程チェック用プロンプトも検証していきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました